掲載記事タイトル
【一粒の重みを知ろう】腎臓への負担を軽くする効き目があり、注目されている低タンパク米「春陽」
埼玉県志木市の『こくまん』の店頭に並ぶ低タンパク米「春陽」が日本農業新聞に掲載されました。腎臓病患者には、たった一品のメニューの増減が重要な意味を持つ。低タンパク米が、そのささやかな"夢"をかなえてくれた。
虎の門病院での食事療法指導
東京都港区 虎の門病院・健康管理センター部長 原 茂子さん
「タンパク質の摂取量が抑えられるおかげで、おかずが一品増やせる。食事制限と一生付き合わなければならない腎臓病患者にとって、大きな喜びだ」
腎臓の役割は、食べ物から吸収したタンパク質をろ過することだ。そのため、腎臓病患者が健康な人と同じようにタンパク質をとると、腎臓への負担が大きくなり過ぎる。そこで、三種類の刺し身の盛り合わせは一種類に。肉ジャガなら、肉を抜く。
ご飯茶わんに一杯。米にはタンパク質以外にも人間のエネルギー源となる糖質がたっぷり含まれているため、むやみには削れない。そうなると、おかずを減らすしかない。
救世主として登場した低タンパク米は、タンパク質の一種・グルテリンの量を普通米の半分近くにまで減らしたものだ。タンパク質が少なければ消化のために使う力が小さくて済み、腎臓の負担も軽くなる。
続々と生まれる新機能を持った米
-
低タンパク米「春陽」タンパク質の一種・グルテリンの量を普通米の半分近くに減らした米。腎臓への負担を軽減し、食事制限のある患者がおかずを一品増やせる喜びをもたらす。
-
デンプン米米の表皮を削り、タンパク質の量を減らしたもの。ただし表面を削りとると粘りが消え、パサパサとした食感になるのが難点。「とても毎日食べられるものではない」ともらす患者が多い。
-
低アレルゲン米ご飯でアレルギー症状が出る人でも安心して食べられるよう、アレルギーを引き起こすたんぱく質を減らした米。
-
巨大胚芽米玄米を水に浸すと血圧を下げるγ-アミノ酪酸(ギャバ)が胚芽にたまる仕組みを利用。普通米の4倍サイズの胚芽を持ち、ギャバの量も格段に多い。
普通の米から見つかった新たな機能:フィチン酸
茨城県つくば市 食品総合研究所・穀類特性研究室長 大坪さん
「米の胚乳に含まれるフィチン酸の量は、小麦のおよそ十倍。穀物の中では非常に多い」
🧬 フィチン酸の効果(研究段階)
米や小麦に含まれるフィチン酸に、脂肪肝を抑えたり、皮膚がん・大腸がんを防ぐ効果があるという。米を食べれば脂肪肝やがんが防げるとはいい切れないものの、将来はフィチン酸を使った薬品が登場することも考えられる。
育種で加えた機能。これまで気づかれなかった機能——。米の用途は、主食だけにとどまらない。