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メディア掲載(2003年9月5日)



日本農業新聞(2003年9月5日発行 No.14475)


メディア掲載メディア掲載
米屋の店頭に並ぶ低タンパク米「春陽」
腎臓への負担を軽くする効き目があり、注目されている。(埼玉県志木市の『こくまん』)

【一粒の重みを知ろう】

腎臓病患者には、たった一品のメニューの増減が重要な意味を持つ。低タンパク米が、そのささやかな“夢”をかなえてくれた。
「タンパク質の摂取量が抑えられるおかげで、おかずが一品増やせる。食事制限と一生付き合わなければならない腎臓病患者にとって、大きな喜びだ」
東京都港区の虎の門病院。健康管理センター部長の原茂子さんは、低タンパク米を取り入れた食事療法を外来患者に指導する。
腎臓の役割は、食べ物から吸収したタンパク質をろ過することだ。そのため、腎臓病患者が健康な人と同じようにタンパク質をとると、腎臓への負担が大きくなり過ぎる。そこで、三種類の刺し身の盛り合わせは一種類に。肉ジャガなら、肉を抜く。
ご飯茶わんに一杯。米にはタンパク質以外にも人間のエネルギー源となる糖質がたっぷり含まれているため、むやみには削れない。そうなると、おかずを減らすしかない。
救世主として登場した低たんぱく米は、タンパク質の一種・グルテリンの量を普通米の半分近くにまで減らしたものだ。タンパク質が少なければ消化のために使う力が小さくて済み、腎臓の負担も軽くなる。

米の表皮を削り、タンパク質の量を減らした「デンプン米」もある。だが、表面を削りとると粘りが消え、パサパサとした食感になるのが難点だ。そのせいか、デンプン米は「とても毎日、食べられるものではない」ともらす患者が多い。
新機能を持った米は、続々と生まれている。たとえばご飯でアレルギー症状が出る人でも心配ないように、アレルギーを引き起こすたんぱく質を減らした「低アレルゲン米」がある。
あるいは、「巨大胚芽米」。玄米のまま水に浸しておくと、血圧を下げるγ−アミノ酪酸(ギャバ)が胚芽にたまる。この仕組みを利用して、普通米の四倍サイズの胚芽を持ち、ギャバの量も格段に多い米に仕立てた。

手を加えた米なら、機能性のパワーアップもうなずける。ところが毎日食べている普通の米からも、新たな機能が見つかった。米や小麦に含まれるフィチン酸に、脂肪肝を抑えたり、皮膚がん、大腸がんを防ぐ効果があるという。
茨城県つくば市の食品総合研究所。穀類特性研究室長の大坪さんが説明する。「米の胚乳に含まれるフィチン酸の量は、小麦のおよそ十倍。穀物の中では非常に多い」
米を食べれば脂肪肝やがんが防げるとはいい切れないものの、将来はフィチン酸を使った薬品が登場することも考えられる。
育種で加えた機能。これまで気づかれなかった機能 ――。米の用途は、主食だけにとどまらない。
日本農業新聞 提供 No.14475(2003.9.5.)

追記:現在「春陽」の取り扱いはしていません。







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